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類義語

 ずっと以前のこと。職場にあった国語辞典で「じゃんけん」をひいてみると「『いしけん』と同じ」とあった。ならばとその「いしけん」をひいてみたらば「『じゃんけん』のこと」とあった。見た目ごく普通の辞書である。ポケット判ではなく、よくある卓上サイズのたとえば新明解国語辞典などより一回り小さいくらいのもの。それだけの
大きさでありながら語義の説明がまともになされていない。

 表紙の下半分にナントカ工務店みたいな社名入りだったので、おそらくは年末に配られるカレンダーのような役割を負ったものだったのだろう。お得意先各社に無料配付するための辞書なんぞに品質は求められていないというのか。それにしてもそんな辞書、選ぶ方もだがそもそも作る方にも問題がある。辞書を編む人間としての誇りはないのか。誇りなぞないのだろうな、もちろん。だから類義語の堂々回りしかしないような「辞書」が作れてしまうのだ。

 誇りがないならないで良いのだけれど、そんなやっつけ仕事のせいで言葉に絶望する人々が作られていくことを想像すると、他人事ながら胃もたれを起こしそうになるのである。けっしてお正月の食べ過ぎのせいなどではなく。
 
<次回は「ご」または「ぎご」で始まるタイトルですよ>
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by edoya-ex | 2009-01-03 19:56 | シリトリヨタバナシ
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